自由の限界

森山直太朗( Naotaro Moriyama ) 自由の限界歌詞
1.そりゃ生きてればな

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

初っ端の朝に 出端挫いて
見よう見まねで コイン弾いた

天気がいいねと 相づちうって
しばしの沈黙 咳で払った

そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな

黄昏時に 弾んだボール
行くとこないやと どっかに消えた

剥製みたいな バイトの仲間
笑顔が上手くて 感心しちゃう

そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな

大きな馬に 股がりながら
見えない景色に 馳せた思いよ

小さなこころ 風に遊べと
旅に出ようと 部屋に籠った

そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな
そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな
そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな
そりゃ生きてればな そりゃ生きてればな


2.どこもかしこも駐車場

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

別れ話の帰り道 悲しくなんてなかったよ
フラれた方は僕なのに 泣いていたのは君の方

どこもかしこも駐車場だね どこもかしこも駐車場だよ
どこもかしこも駐車場だわ どこもかしこも駐車場だぜ
どこもかしこも駐車場 こんなになくてもいいのにさ

駅前はやたら騒がしく 野球帰りの子供たち
プードルが変な服着てる 本屋に寄って帰ろうか

どこもかしこも駐車場だね どこもかしこも駐車場だよ
どこもかしこも駐車場だわ どこもかしこも駐車場だぜ
どこもかしこも駐車場 車があったら便利かな

明日は朝からアルバイト 夜の予定は特にない
百年経ったら世界中 たぶんほとんど駐車場

どこもかしこも駐車場だね どこもかしこも駐車場だよ
どこもかしこも駐車場だわ どこもかしこも駐車場だぜ
どこもかしこも駐車場 そろそろ火星に帰りたい


3.Que sera sera

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

さっきまでの静けさが嘘みたいだ
なんで胸がこんなにも騒がしいんだろう

きっとこれは澄み渡る空のせいだ
ちょっと今日は我ながらどうかしてる

あゝ神様 そろそろ教えてほしいよ
僕が歩む物語のその顛末を

Que sera sera 悲しみは風の中で
揺れながら 答えを探しあぐねている

壊れそうな 心に気づいておくれよ
パッと咲いた 木蓮の花の宴

Que sera sera いつか見た夢の中で
戸惑いは 嬉々として罪を照らす

Que sera sera 悲しみは風の中で
揺れながら 答えを探しあぐねている


4.晩秋

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

これはマジな話さ ブラフじゃないぜ
信じようとも信じなくとも そこはお前の自由さ

明日の今頃には 分かるはずだよ
あそこの国のミサイルが飛んで 俺たちは木っ端微塵らしい

物語の最後のページは
黒く塗りたくられるだろう えげつないよな

情けなくて 情けなくて 涙が出るよ
砂で建てたお城のように 流されてく運命
跡形もない 跡形もない

そうして恍けていられるのも 今のうちだぜ
この後に及んで「自分だけは」と 助かろうとでもしてるのか

数えきれない過ち諸共
いつか描いた未来は 取り留めもない

アホらしくて アホらしくて 笑えてくるよ
秋の空に万国旗が はためいてやがる
風もないのに 色とりどり

明日の今頃には分かるはずだよ 明日の今頃には分かるはずだよ
明日の今頃には分かるはずだよ 明日の今頃には分かるはずだよ
跡形もない 跡形もない 跡形もない 跡形もない


5.アンジョリーナ

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

かったりーな今日も外に出るの なんか膝痛いし
どんよりな空を眺めてても やっぱ腹は減るんだね 徐々に減るんだね

アンジョリーナ 僕はここにいるよ 息を潜めて
真っ青な花が 濡れているよ 雨に打たれて
そっと綻んでる

ヘミングウェイに頓挫してバガボンド 迷える武士道
難解な問題は後回して 猫と戯れてる 主に戯れてる

アンジョリーナ 月が逃げてゆくよ 追えば追うほど
待ったりーな こんなはずじゃないよ 回り出すエンドロール
若干汗ばんでる

死して尚花咲くこともある いつか恩師が言ってた
生きていりゃしんどいことばかり サッと引いてあの世でアニョハセヨ

アンジョリーナ 空が落ちてくるよ 気分はどうだい
減なりな顔は見せないでよ 風に靡くブロンドヘアー

アンジョリーナ 僕はここにいるよ 息を潜めて
真っ青な花が 濡れているよ 雨に打たれて
そっと綻んでる


6.よく虫が死んでいる

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

起き抜けの朝とか 眠れない夜とか
私の部屋では よく虫が死んでいる
立て付けのよくない 一軒家だから
よく虫が死んでしまうのかもだな

考え事をしてる自分に気付くと
丸まった背中 眉間には皺
私は一体 何を考えてたのか
自分の背中に問いかけたりして

動物とはあまりに違うから 虫たちは遠い宇宙から来たと
子供の頃は思ってたけれど 最近じゃあんまり思わなくなった

よく虫が死んでいる よく虫が死んでいる
私の部屋では よく虫が死んでいる

汗だくの夏とか 霜焼けの冬とか
季節に限らず よく虫が死んでいる
我が国は四方を 海に囲まれてるから
よく虫が死んでしまうのかもだな

恐竜とか太古の昔から 生き延びてきたとは思えないほど
儚く脆くそれでいてグロテスク 縦んば友達になれたとしても

よく虫が死んでいる よく虫が死んでいる
茶碗の中でも よく虫が死んでいる

よく虫が死んでいる よく虫が死んでいる
私の部屋では よく虫が死んでいる


7.そのままの殿でいて

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

ふてくされた横顔 眠たそうな眼差し
コホンと咳一つ 鶲(ひたき)鳴く日暮れ

手に入れた物すべて 捨ててもかまわない
あなたが光なら わたしは影がいい

オーロラは知りませぬ 字(あざな)などいりませぬ
触れ合うよりも 見つめていたい
祈りは揺れる 灯籠の影
嗚呼 そのままの そのままの殿でいて

新緑に萌ゆる 五月の空の下
乱れそうな心 水面に誤摩化して

サララと音もなく 名付け得ぬ日々よ
舶来のキセルから 燻る白糸

ビロードの着流しで 天(あま)つ空駆け巡る
燃え盛る炎さえ 涼しく微睡んだ
祈りはいつぞ 闇に消ゆるだけ
嗚呼 そのままの そのままの殿でいて

オーロラは知りませぬ 字(あざな)などいりませぬ
触れ合うよりも 見つめていたい
祈りは揺れる 灯籠の影
嗚呼 そのままの そのままの殿でいて


8.たぶん今頃

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

なだらかに空は広がり
その空の向こうの下に
まだ見たことのない世界が作られている

たぶん今頃
馬追いは突然のスコールに降られ
助産婦は頬杖を付いている
闘牛士は買ったばかりの靴を磨き
政治家は髪型を気にしている
浮浪者は道ばたにしゃがみ込み
子供等はゴム跳びをしている

たぶん今頃
森は焼かれ
海は汚され
紛争は続き
それでも新しい命は育まれ
音と音が重なり合うように
宇宙はゆっくりと広がっている

たぶん今頃
アサガオは頼りなく天を目指し
ノラネコは肩を落としている
アメンボは耳を澄まし
カラマツは人目を気にしている
シロクマは首を伸ばし
コオロギは羽を鳴らし
カミサマは虫歯に悩んでいる

たぶん今頃
ソムリエはスーツを新調し
シスターは欠伸をこらえている
ガリレオは煙草を吹かし
モナリザはお茶を沸かし
イエヤスは遠い空を見つめ
カエサルは橋を渡ろうとしている

たぶん今頃
赤ん坊は小さな手を握り
老人は沈黙の中を泳いでいる
アストロノートは言葉をなくし、若しくは感情を捨て
恋人たちは休日を持て余している
英雄は美酒に酔いしれて
詩人は風邪を引いている

たぶん今頃
悲しみは床に寝そべり
喜びは旅支度をしている
裏切りは浅い眠りの中
信頼はタイムカードを打ち損ねる
夜はストライキを
朝は能書きをたれ
太陽は癇癪を起こし
北風は長電話をしている

たぶん今頃
私は部屋を暗くして
自分の中にいるもう一人の自分とサヨナラをしている
あと、昨日怪我した左足の薬指に古くなった軟膏を塗り付けている

たぶん今頃
お茶の間で
駅前で
コンビニで
路地裏で
お風呂場で
公園で
ファミレスで
工事現場で
旅先で
ボーリング場で
会社で
学校で
キッチンで
病院で
歩道橋で
港で
ショッピングモールで
屋上で
グランドで
交差点で
その先の宇宙で
たぶん今頃
新しい世界が作られている

たぶん今頃
みんな同じ空の下にいる
それぞれがそれぞれに関わりを持って
新しい瞬間の中にいる

たぶん今頃
なだらかに空は広がり
その空の向こうの下に
まだ見たことのない世界が作られている


9.自由の限界

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

いつかまたあんな風に笑えたらいいな
幕切れのシュールさも承知の上で
厄介な状況に遭遇しても
どうにだって乗り切れる感じがしていた 雨も味方にして

鼻先をくすぐる 木の芽の香り
真夜中に居座る 怠惰な祈り
永遠によく似た 生活の中に
頼りなく微笑む明日を見ていた どれもまやかしのフレーズ

ねぇ 坂の上は登るほど ビューティフルでビューティフルな体
なぜ 流れる汗 追い縋る影はトラウマ

嗚呼 生きて 君と会えるのならば 全てを知りたい
この声が 闇を照らすのならば 自由の限界
粉々にして 無茶苦茶にして 有耶無耶にして

こめかみを打ち抜いた 憂鬱なメロディー
暗い部屋にうずくまって孤独な素振り
今にフッと消えそうな小さなアイデンティティ
常夜灯にぶら下げた 陳腐な誓い
目を瞑って逃げ回った 因果な巡り
なにかしらどこかしら いつも感じていた 朝焼けに背を向けて

嗚呼 生きて 生きて 生きるのならば 自分を越えたい
この声が 空を破るのならば 自由の限界
粉々にして 無茶苦茶にして 有耶無耶にして


10.小鳥

作詞:森山直太朗・御徒町凧
作曲:森山直太朗・御徒町凧

小鳥 君は今でも アネモネ
陽も翳るリビングでウトウトしてる
小鳥 時は不思議と あれこれ洗い流してゆくね
身も蓋もないほど

小鳥 君が突然笑った顔や
やたらストローを噛むその癖 手の平に浮かべては
のらりくらり歩いたこの散歩道 別に頼る当て所もないまま
ぼんやりと夜風に吹かれているよ

小鳥 ぼくらあの頃 闇雲に互いを求めていた
聞き分けもないほど

小鳥 君に見せたい景色があるよ
瞳閉じてその心の目で しかと感じてほしい
あんなに空を近くに感じてたのに なぜにサヨナラも告げないまま
こっそりと彼方へ飛んで行った

小鳥 きっとあの頃 不確かに未来は輝いてた
この歌は最後の ぼくが愛した最後の 貴方への贈り物